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　このコラムを担当させていただいてちょうど10年が経ちました。振り返ってみると、その内容の大半がこの“主張“の繰り返しのような気がします。言ってみれば、これが私からパソコン初心者の方々へのメッセージなのです。その他の辛口コメントやいろいろなアドバイスもありますが、パソコン利用へのささやかな啓蒙活動だと思っています。

　さて、私どもパソコン関連の業種に携わっている立場の者と一般のお客様の認識の一番の違いでもあるかと思うのですが、日々の接客を通して感じることは、“パソコンという機械をどう見ているか”という根本的なことについての相違が少しあるようです。

　「えっ、パソコンって壊れるのですか？」とおっしゃる極端な人も稀にいますが、新品を買って間もないのに壊れた人は必ずこう言います。「何で壊れたのでしょうかね。私の使い方が悪かったのでしょうか」と。

　“人間が作るものには間違いや不具合が必ずある”というごくごく当たり前なことをなかなか皆さん理解しようとされないのです。たぶん、自分だけは違うという思い込みや希望があるのでしょう。自分の子供だけは大丈夫だと思っていたが・・・、なんてことと実は同じなのかもしれませんね。

　システム上のトラブルで銀行業務、列車運行、チケット販売、株取引が一時停止した、なんてことは結構頻繁に実際起きているじゃないですか？（これはソフトウェア危機として実は大きな問題となっているのです）。なぜ皆さんそんなにパソコンを信用するのでしょうか、私には理解できません。家電とは違う危うさをパソコンは持っているのですよ!!　パソコンには、大小さまざまなソフトやプログラムが入っていて小さいながらも結構複雑なシステムです。ですから、同じように不具合があると考える方が自然だと思います。我々は、それでもシステムをある程度信用し、またパソコンも信用して使います。なぜならとても便利な道具だからですよね。そして多くの人にとっては商売道具です。しかし、“潜在的に不具合を持っていて、いつでも壊れる”という認識は絶対に忘れずに接してください。そうでないときっと近い将来、必ず裏切られることになりますから。

　私の好きな表現ですが、「パソコンは奇跡的にやっとのことで動いている」のです。だってWindowsフォルダーの中のどれでもひとつ重要なファイルが壊れるだけで起動しなくなるのですから。現状認識を正しくしておきたいということで、これからの連載も続きます。今後ともよろしくお願いします。人間はすばらしい機械を作りましたが、壊れない堅牢なものはなかなか作れないのです。